「それと」

シオンの声でクルーエルは我に返った。

「これは最高機密なんですが、面白い話しも聞けましたし、特別に教えましょう」

最高機密、というからには役に立つ情報なのかもしれないなぁ、とクルーエルがぼんやり思っていると、ラディウスに額を小突かれた。

「った!!」

クルーエルが額を押さえて恨みがましくラディウスを見上げると、ラディウスはうろたえたように視線を彷徨わせていた。

「ラディウス?」

心配になりクルーエルは、ラディウスの袖を掴み、すがるように身をよせた。

「大丈夫?何か見たの?ねぇ……」

「なんでもない」

しかし、ラディウスはクルーエルの手をを荒々しくはなくとも、邪険に払った。

「あっ……」

「それで、機密とは?」

ラディウスはクルーエルを無視し、シオンに問いかけた。
それまで、長い髪を揺らしながら忍び笑いをしていたシオンは、目じりにたまった涙をぬぐいながら口を開いた。










二人が部屋を出た後、シオンはベッドに倒れこみ、身体を丸めて笑った。
少年はおそらく王宮に行くだろう。
どこか、ディラン様と似ていたような気がしたし、紅い瞳だ。
きっと歓迎されるに違いない。
でも、少女の方はどうか。
あの様子なら、あの二人は、どこへ行っても二人でいようとするだろう。

「仲がいいと、それだけ苦労しますよ。こと、王城では特に、ね……」