時雨の奏でるレクイエム

クルーエルは城のテラスから帝都を見下ろしていた。


すごくいい眺めだと思う。
久しぶりにお風呂に入って、心なしか髪が柔らかくなった気がする。
そしたらなんだか涼みたくなって、アルミナに聞いてここにきた。


幻獣王を探しに行こう。
そう、ラディウスに言ったのは、何ヶ月も前のことだ。
その間に私は14歳になったけど、ラディウスには言っていない。
私は、ラディウスに、何も言ってない。
だけど、ラディウスも私に何も言わなかった。
私達の旅はそれでも良かった。
でも、今は違う。
私のことを、ラディウスに知ってほしいと思う。
でも、悪いことは知って欲しくない。
それと、ラディウスのことも知りたい。
どこで、なにをしていたのか。
アルミナとの関係はなんだろう。
どうして、こう思うのかはわからない。

「ここにいたのか。クルーエル」

「あ、ラディ、ウス?」