時雨の奏でるレクイエム

アルミナは意地悪そうに笑った。

「やっと、思い出してくれたの、お姉さま」

「え、ぇええ!ラディウス、女の子?ち、違うよね、なんで!?」

クルーエルは思わず叫んでアルミナとラディウスの顔を交互に見た。
アルミナは相変わらず意地悪そうににやにやと笑っているし、ラディウスは苦々しそうにアルミナを睨んでいる。

「驚くことではない。5年前まで、そこの第二王子は王女として存在していたからの」

「わけわかんないよ、アルミナ」

「……妾は、クルーエルの妾を女帝と知った後でも態度を変えないところも好きじゃよ」

「もっとわけわかんないよ。ラディウスが王国の王子ってどういうこと?しかも王女として暮らしてたとか、なんで二人は知り合いっぽいの?ああ、もう……わけわかんないー!!」

「まあまあ、落ち着くのじゃ、クルーエル」

「落ち着けないよ。……ラディウス!!」

「な、なんだ?」

突然話しをふられて、それまで沈黙していたラディウスがうろたえる。

「全部、教えてくれるよね?」

ラディウスはため息をついた。

「ああ、わかった。でも、今はそれを話す時間はないだろう」

「いや、つもる話もあるからの。二人はしばらく、この城に滞在してもらうぞよ」

これは命令だ、と言うように、アルミナは言い放った。