それからの事は、全て一瞬だった。
クルーエルの展開したシールドがウルフを弾き、ラディウスが左手に掴んだ諸刃の剣で胴体をたたっ斬る。
そしてそのまま右手に握った小刀でウルフの喉を切り裂いた。
あっけなく、ウルフは絶命した。
その身体が瘴気を撒き散らしながら消えていく。
その瘴気はクルーエルが結界で外に漏れることを封じていた。

「嫌だな……もう、闇の幻獣王の力が光の幻獣王の力を超えかかっている」

クルーエルがぽつりと呟いた。
ラディウスはクルーエルに声をかける事ができなかった。