「当たり」

にっこりとリズナードは微笑んだ。

「大事なのは赤と銀だ。それさえそろえば生贄となり得る……そう、君も銀と赤だからね」

クルーエルはいぶかしんだ。

「なんで?」

リズナードは聞き返した。

「なんで?って……」

「なんで、今なの?」

クルーエルは続ける。

「いつでも言えるし、きっといつか私もそれに自力で気づいたかもしれない。生贄であっても、必ずしも必要とされるわけじゃないでしょ?」

「……鋭いね」

リズナードから余裕が消えた。
でも、うっすらと笑みは読み取れる。
まるで、今の状況を楽しんでいるみたいだ。

「いつか、必ず神の助けが必要になる。そのときの選択肢は多ければ多いほど良い。ラディウスはもう気づいた。なら君も知るべきだ」

「どういうこと?」

クルーエルは耳を塞ぎたくなったが、つい、疑問を口に出してしまっていた。

「神の助けが必要?選択肢……?」

リズナードはくすくすと笑った。
楽しくて仕方がない、とでも言うように。

「闇の幻獣王の破壊願望は臨界点を越えかけている」

そして、とりズナードは言葉を区切った。
気づきたくないことに気づかされるような、嫌な予感が身体中を駆け巡る。

「同じ場所に、神の器は二つもいらない」

そうだろ、クルーエル?
リズナードはくすくすと笑いながら消滅する。
次の瞬間には、私はまた光の奔流に飲まれていた。