俯いた私の頭を、ジンが撫でた。





「よく頑張ったね。」


「…………。」


「おウチをゴミ屋敷にしてたのは、寂しかったからかな。…隙間を埋める何かを求めてたんだね。」


「…………。」


「もう、大丈夫だよ。
もう、一人ぼっちじゃない。」






ポロポロと、涙が零れ落ちてしまう。










私、本当はずっと寂しかった。

寂しかったの。






私は、手を伸ばす。



そして、その手をジンが握ってくれることを知っていた。







臆病で、強がりで、素直じゃない。

だから、可愛く弱音の一つも吐けやしない。




ママが死んでしまった、あの日から私は永遠に続くような孤独を抱いていた。



本当は、いつだって―……








「私…料理しか出来ないよ。」


「うん。」


「部屋も、ベランダも、すぐに散らかすし…、髪はボサボサだし、ジャージだし…、お風呂に入るのだって忘れちゃうし…。」


「うん。でも、俺の飼い主でしょ?
だから、ずっと傍にいるよ。」


「…………。」






本当は、いつだって、
SOSと泣き叫んでしまいたかった。


もう、一人ぼっちは嫌だ、って。

誰かが必要で、誰かに必要としてほしくて。






幼い子供のように泣き出す私を、ジンはそっと抱きしめてくれた。





長い間、押し込めていた感情が溢れだして止まらない。




求め続けた温もりが、そこにあった。