「ここ、家」


あっと言う間に着いてしまった自分の家。



「また明日な」


広沼はそう言って、早く家入れよとせかした。


そしてガチャン、と家のドアをしめた。


しばらくして、ドアを開けて外を見てみる。




来た道を戻っていく広沼の後ろ姿。


やっぱり…………。



そんな姿を見ていると、心が熱くなった。




たった1日でも、きっと。


“好き”が重なれば大きくなるんだよ。


私は近くにあったサンダルをはいて走りだした。

すごく走りくいけど…。


そんなのどうでもいい。



「広沼っ!」


大きな声で呼ぶと、肩を少しビクつかせて振り向いた。



「ちょ…お前………」



「ありがと!」


「だから、それはさっき聞い…」


広沼が喋ってるとかお構いなしで、私は口を開く。



「……広沼は!…広沼は優しいからっ!」


私が思いっきり伝えると、広沼ははにかんで、



「おう」


一言だけ言うと、背を向けて帰って行った。



 -おわり-
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