「ああ、そういえば、塚本はまた賞を取ったようだな。おめでとう」


教室に響く乾いた拍手。

そんなのどうでもいいから早く授業を終わらせてくれ。

そんな空気が漂う中、僕の前の席の1人の女生徒が、無表情でぺこりと頭を下げた。

勿論後ろの僕が彼女の表情を知るわけもない。

だが、確かに無表情なのだ。


だって、それが彼女だから。