水からあがった二人の男は、どちらが強いかなど一目瞭然だった。



ひろし君はふぁんたの胸のあたりまでしか背がなく、ガニ股で貧弱なボディをしていた。



二人して水の中で漂っている時は、ふぁんたがこれほど大きいとはおそらく予想もつかなかったのだろう。



おまけにふぁんたのボディは、子供向けテレビのアクションヒーローのようだった。



「ど、どっからでも、か、かかってきやがれ」


震える声で、それでもひろし君は虚勢を張った。



ふぁんたはファイティングポーズをとった。



「わぁーあの子かっこいい!そんなサル男やっつけちゃえ!」


どこからか黄色い声援が飛んだ。



わたしは、一発ノックアウトを容易に予測できた。



ひろし君ががたがたと震えてるのが、気の毒なくらい分かった。



ふぁんたがチラッとひろし君の彼女を見た。



なんだかんだ言っても、彼氏を心配してオロオロしていた。




いきなりガバッとふぁんたが土下座した。