ある休日の朝、ふぁんたがプールのチケットを二枚出して言った。


「商店街のくじ引きで当たったの。行こうよ!」



「えーっ、かったるーい」



あまりにもふぁんたが何でもやってくれるので、わたしはどんどんルーズになっていた。



「少しは運動もしないと駄目だよ。僕、荷物持つから」



「は?荷物?」



テーブルの上にはすでに、ピクニックのようにかわいいお弁当が並べられ、バスケットに詰められるのを待っていた。



「やだよーっ」



いやがるわたしをふぁんたはひょいと抱き上げると言った。


「ワガママを言うと、このまま出かけるからね」



「・・・わかった。自分で歩く」





わたしは出かけるのが特別嫌だって訳ではなかった。ただ、一通りふぁんたをてこずらせてから行動するのがゲームのようで楽しかった。



彼を通して父に甘えているのだということも自覚していた。



けれども年下のふぁんたには、そんなこと口が裂けても言えるか!だった。