ふぁんたは胸を張って言った。


「ずーっと20年かける12ヶ月、敦子さんは一回だって手紙と写真を欠かしたことがないんだ。それが3月のを最後にこなくなった。ママは、何かあったに違いない。富安太、日本へ行きなさい。そして必要ならお父さんの代わりにしっかり水沢母子を守るのよ、ってね。とても興奮して心配してた。電話で敦子さんのこと知らせたら、なんてこと!!って言って泣いて泣いて泣いて・・・力になるようにって」



「・・・・・ふぁんた、ありがたいんだけどわたしは大丈夫よ。母のことは悲しかったけど、今は気楽にやってるし、お金にも困ってないし」



「駄目だよ、僕は決めたんだ。パパの20年間の思いをどれくらい僕が満たしてあげられるか分からないけど、姉さんの力になりたいの。お願い、いいって言って」



訴えるような、ふぁんたの真剣な眼差しにわたしはつい「うん」と言ってしまった。



―ま、いいか。退屈しのぎになるしね。部屋もあることだし。それにこの坊やとじゃ万が一他人でも間違いなんて起きそうにもないわ―





そしてわたしとふぁんたの同居生活が始まった。