「・・・わかりました。あなたは夫と旅行に出かけたらいいわ。私はその間独身に戻っちゃいましょう。その代り旅行から帰ったら、夫とは別れて私たち母子に夫を返して下さいね」
「はい。太郎さんとの思い出だけで生きて行けます」
びっくりしたのは太郎のほうだった。
「君は、僕に浮気を勧めるのか!」
「いいえあなた、敦子さんと約束したの。本気で愛してあげて下さい。3日間だけ。その間私を忘れて下さい。あの人は不思議な人だわ、本気で助けてあげたくなったの。私なら大丈夫っ!」
彼女はニコニコして答えたという。
―とても信じられないけど―
「僕はオモチャじゃないぞ!それにそんなふしだらなことができるか!君はどうかしてるよ!」
太郎は憤慨した。
―当然だと思う―
それでもめぐみさんは、根気よく彼を説得した。
太郎は、旅行だけならと渋々承知した。