四十九日が過ぎて、わたしはやっと母の遺品を整理する気になった。 十一冊目に入ったわたしのアルバム。着るものや化粧に無頓着だった母の、数少ない生活用品。わたし名義の預金通帳 ―母名義のものはなかった― そして、エアメール用の便箋と封筒。 「えっ?これだけ?」 父の写真とか、手紙とかを期待していたのに。やっぱり敵はしたたかだった。 「うっふっふ、残念でしたぁ」 と言う母の声が聞こえるようだった。