「ごめんねーっ遅くなっちゃって!・・・あれ?何か怒ってる?」


「かあさん、あたし信じらんない!!」


「何が?」


「近所の人にしゃべったのね!」


「何を?」



わたしはテーブルにのった重箱の布巾をぱっとはがした。



「そうそう、私すっごく嬉しくて。あなた他の子たちより遅いって悩んでいたでしょう。母さんの頃は高校生になってからやっと、って子もいたくらいだから心配はしていなかったんだけど、あんまりあなたが心配してるから私にも心配がうつっちゃって」


「何のほほんと言ってるのよ!問題はそれじゃなくてご近所に配ったこれよ!!」


わたしはお赤飯の詰まった重箱を指差して怒鳴っていた。


「みなさんおめでとうって言って下さったのよ。本当に良かったわねぇ、みんなに祝福してもらって。ところでお赤飯に何か問題があったの?ちょっと硬すぎたかしら・・・」