ほどなく母は太郎に呼び出された。 太郎は彼の妻を同席させていた。 太郎と妻のめぐみは信じがたいくらい広い心を持っていた。 ―わたしに言わせれば馬鹿なお人好しである― 彼らは母を慰め、ちから付けた。 よければ養子として生まれてくる子供を引き取るとまで言った。 母は彼らの慈愛にうたれ、子供を産んで一人育てる決心をした。 そして彼の妻のめぐみは、母と生まれてくる子供であるわたしのために、最初から愛情溢れるストーリーを用意してあげなければと言った。