母は新聞の勧誘も訪問販売も押し売りからでも、何でも言われたとおり買っていた。 「新聞を四種類も取ってどうすんの」 「うちにミシンや大家族用の鍋なんて必要ないでしょう」 「いまどきタワシや歯ブラシを押し売りから買う?」 母の答えはいつも「だってぇ」だった。 わたしはそれらを解約したり返品したりするたびに、自分の性格が可愛く無くなっていくことをひしひしと感じていた。