ふぁんたは歩道の無い道を歩くときは、必ずわたしをガードして路肩側を歩かせた。 人ごみの中では一歩前を歩き、力強い腕でわたしを引いた。 「ふぁんたって雪掻きのラッセル車みたい」 とわたしははしゃいだ。 時代劇の撮影所では、前の人だかりで見ることが出来ない子供を肩車して喜ばれていた。 京都の町並みは何故かわたしをノスタルジーに浸らせた。 ―やはり母とふぁんたの父親はここで愛し合い、結果母はわたしを身ごもったんだ・・・―