「ねえねえ、ふぁんた君の実家って何やってるの?」


居酒屋、午後八時半、樋口さんがふいに尋ねた。



そういえば、今まで不思議と一度も話題にしてなかったことだ。



「スーパーっていうの?野菜とか魚とか売ってるんだよ」


ふぁんたは言った。



「へーえ、家族でお店やってるんだ。それじゃあお父さんいなくなって大変ねぇ」



「うん、でも今は兄さんが後を頑張ってるから大丈夫」



「そぉ、じゃあお母さんも安心ね」



「うん、兄さんの奥さんも手伝ってくれてるから、ママは随分助かっているんだよ」




わたし達は、家族で野菜や魚介類を売りさばく、たくましい一家を想像して感心した。