「ふぁんたよう、ちょこぱふぇが無いぞ。ちったぁ恋人のことも考えろ。年寄りフードは余るほど用意してあんのによ。なぁ、婆ちゃん良かったな、田舎にはこんな食い物無いだろ」


美和は権田ママのお母さんに話しかけた。



「ほんとに、ありがたいですねぇ。ところでお嬢ちゃんは剛造と逆さまなのかね?」



「どういう意味だよ婆ちゃん」


美和が〔はてな?〕の顔をした。



「スカートはいてるけど言葉は荒っぽい男の子のものだし、東京は訳がわからないねぇ」



「大きなお世話だ!年寄りは早く寝ろ!」


美和は腕ぐみをしてふてくされた。



「こどもは元気があり余ってていいねぇ。嬢ちゃん今度伊豆に遊びにおいで、じいちゃんが船に乗せてやるから」


ママのお母さんは美和の手を取って言った。



「船?ほんとか?釣りも出来るか?」


美和は機嫌を直し、わくわくした顔で聞いた。



「釣り立ての魚、その場で料理してやるよ」



「すげぇー」


美和の目がきらきら輝いた。



「おい、剛造。いいかあちゃんだな」


美和は素直に言った。



ママは嬉しそうに「ありがと」と答えた。