Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―






「そっか、よーくわかった。で、おかあさんの住所はどうやって調べたの?」


わたしは感心しながらも、ふぁんたに尋ねた。



「はいっ、それは私です」



「えっ?樋口さんが?」



「ほら、権田ママお店の慰安旅行でタイに行ったとき、旅行保険の受取人を伊豆のご両親にしたでしょう。そのときの資料やなにかをデータファイルからプリントアウトしてあげたの」



―それは、いけない行為だったりして―



「ごめんね樋口さん、無理言っちゃって」


ふぁんたがすまなそうに詫びた。



「いいの、いいの。ふぁんた君が悪用する訳ないもの」



―それもそうだ―