Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―






「権田ママからは、いつレビューしたいって夢を聞いたの?」



「最初に会った日だよ。そのときオカマって嫌いじゃないの?ってママが聞くから、なぜ?嫌う理由がどこにあるの?って答えたの。そしてあるエピソードを話したの。僕の住んでいるサンフランシスコの近所の家には、ちゃんと結婚式を挙げた男の人同士が暮らしていて、二人で養子を育てていることや、その人たちの家族にも周りの人たちが当たり前の夫婦に対するように接していることや、近所づきあいもすこぶる上手くいっていて、特にそこの〔奥さん〕は料理の腕が抜群で近所の主婦を集めて講習会までやる人気者だってことなんかも話したの。その〔奥さん〕の夢は、ダンサーになってプロードウエイの舞台に立つことだったけど、ご主人と知り合ってから専業主婦になったの。モチロン進んでね。でもある日ダンスのビデオを真剣に見ている奥さんを知ったご主人は、近所の奥さんたちに相談して公共の野外ホールでチャリティーショーを開いてやったんだ。お客さんは少なかったけど、〔奥さん〕はトニー賞もらうより嬉しかったって。そんなこと話してあげたらママ、いいなあって。ショーも羨ましいけど、家族の理解はもっと素敵ね。って。だから僕ママに聞いたの。家族に会いたいの?って。そしたらママそりゃあね、でも向こうが御免だっていうわきっと。って言うんだ。僕その時両方叶えてあげようと思ったの」