Soft Luck ―ファンタが街にやってきた―






「本当はあたし、バレリーナになりたかったの。もちろん王子様に持ち上げられるお姫さまのほうよ!」



ママはアンドゥトロワのポーズを取って、おどけて見せた。



「でも、それは夢に終わったわ。何故だかご存知よね。理解出来ない方は後で楽屋にいらして!マンツーマンで見せたげる」



ママがウインクした。もう誰も笑わなかった。



「物心ついたときは、もう、そうだったの。何故かはわからないわ。偉いお医者さんなんかは、母胎にいるときに母親が受けた精神的影響によるものが多いとか何とか言っているらしいけど、母親のせいにはしたくないわ。母もこんな息子を持って充分苦労したはずだしね。・・・あたしはモチロン娘のつもりよ!」



みんなはショーのときと同様、一心にステージを注目していた。