「やっぱり見られていたのかぁ。うまく逃げたつもりだったのに」


ふぁんたが照れながら言った。



「どういう知り合いなの?署長はあなたのお父さんの友人だって言っていたけど」



「うん、その通りだよ。幼なじみだったんだって。署長さんは毎年家族で休暇にはアメリカの僕の家に遊びに来てくれていたの。パパの葬儀にも来てくれた。空手や剣道は彼が勧めてくれたんだよ」



「それだけ?」



「うん、それだけ。今回は姉さんのためだけに日本に来たから連絡しなかったの。そうだ僕がアメリカに帰っても、姉さん何か困ったことがあったら署長を頼るといいよ。僕頼んどいてあげるから」



「いいわよ、そんなの。警察と関わるなんてまっぴら」



「そう?わかったよ。じゃあこの話は終わりね」


ふぁんたはニッコリ笑うと、明日のパーティーのメニューについての話題に変えた。



「随分といろいろな種類出すのね。多すぎない?」



「これでいいんだよ。それより僕ちょっと知り合いの部屋に行ってくる」



「えっ?ふぁんた、このホテルに誰か友達でも泊まっているの?」



「まあね。すぐ戻ってくるよ」


ふぁんたはそう言うと出て行った。




―うーむ、あいつがわたしの質問にあやふやな返事をしたのは初めてだわ。・・・何かあるな―