受話器を置いたスージーが、静かに樋口さんに言った。


「盗難カードです。今までも似たような手口で被害が数百万出ているそうです。警察の方がすぐに見えるので何とか引き止めておくように言われました。わたしが代わりに応対していいか警察に尋ねましたら同じ人間でないと疑われるというので・・・樋口さん、恐れ入りますがもう一度お願いします」



スージーが申し訳なさそうに言って、樋口さんは青くなった。


「わっ、私出来ま・・・せん」


樋口さんは泣き声になった。




「すいませーん、まだですかね」


パーテーション越しに二人組の片割れの声が響いた。