母は、人が言うところの「恥かきっ子の一人っ子」だったので ―だいぶ遅くできた子だったらしい― わたしが小学校にあがる前に祖父母はわたしたちを心配しながらも、そこそこ天寿をまっとうし、相次いで亡くなった。



祖父母はわたしが大学を出れるくらいのものは充分残していってくれたので、そんなに貧乏体験はしないですんだ。






「さあ、今日からこの世で二人っきりの家族よ。助け合って頑張って生きてゆきましょう」


祖母の後を追うように祖父が亡くなった夜、母は拳をあげて叫んだ。