えてもらえずに一番困るのは風太だ。
「風太君、謝っておいた方がいいと思うよ。それに琴ちゃんの作ったものだっておいしいと思うけど」
「ごめん、琴美言いすぎました。これからは、もう少しはぐらかして言います」
 ニヤリと笑う風太。
「それより、宿題やるならやってさっさと終わらせようぜ」
 相変わらず隼人君はクールだ。
「みんなどこまでやっているの」
「全然」
3人は声をそろえて言う。
「1ページも?」
「うん」
琴ちゃんは呆れて物も言えないという感じでいる。
「悪いけど、私、日誌はもう終わったわよ」
「見せて、見せて」
風太が叫ぶ。
「嫌だ」
琴ちゃんはフン! と風太から視線をそらして「流ちゃん、隼人君には見せてあげるね」と、日誌を二人に見えるようにパラリと開いて置いた。
琴ちゃんを怒らせた風太は、僕らが映し終わった後に、僕の日誌を見せてあげた。僕が日誌を見せることに対して「そんなことするなら流ちゃんに見せるんじゃなかった」と言われてしまった。
いくらなんでも、僕と隼人だけ自分でやらずに、全部写したのに風太は自分でやれとは可哀想である。
それにしても風太は琴ちゃんにつっかかる。どうしてあんなにつっかかって行くのだろうか? もしかして琴ちゃんのことが好きなのか? イタズラをよくするのはその子のことを好きな証拠というし。その時僕の胸がズキッと痛んだ。風太の顔を見てから琴ちゃんの顔を見る。琴ちゃんと目が合う。僕はさっと目をそらした。なんだか頬が熱くなり、胸がドキドキしている。
「流ちゃん、調子でも悪いの?」
「大丈夫。何ともないから」
僕はごまかす為に咳をした。
あーあ、わざとらしい。なんでこんなことをしているのだろう。アホらしい。