ら超級のカテゴリーが付けられていて、その級によってポイントの高さも違ってくる。平坦ステージだから平坦ばかりのコースかといえば、4級や3級の山が出てきたり、タイムトライアル以外は全コース中間スプリントポイントが置かれている。
 そうそう、忘れてはいけないのが敢闘賞。集団から逃げ出し果敢に動いた選手に贈られる。勝ち負けは関係ない。こんな感じで、ツール・ド・フランスは見どころいっぱいなのだ。
 自転車レースというと、1対1みたいな感じに思っている人たちも多いけど、実はチームプレイなのだ。1チーム9人で走り、エース、野球で言うなら4番を総合優勝させる為に他の8人がサポートするのだ。これにはまると、奥が深すぎてどんどんのめり込んでいく。
 僕達3人は学校から帰るとランドセルを置いてすぐに自転車で社宅内にある公園に集合する。公園といっても砂場と滑り台があるだけの広場といったほうが良いかもしれないようなものだ。社宅内の子供たちはこの公園で遊んでいるが、僕たちは物足りない。砂をいじっても面白くないからだ。
 僕たちの遊びは、社宅の建物を一周してゴールする時にツール・ド・フランスでステージ優勝した選手がしたポーズを真似ること。風太のお気に入りは、人差し指を天に向け空を仰ぎ見て、3回突き上げるポーズ。隼人はアイススケートのキム・ヨナ見たいにバキューンと銃を打つポーズ。僕はというと、小さく「ヤッタ」とガッツポーズをする姿。このポーズは2005年ツール・ド・フランスでランス・アームストロングがタイムトライアルでステージ優勝して、なおかつ前人未到の7連覇達成を成し遂げた瞬間だった。僕はランスを尊敬している。このツール・ド・フランス総合優勝7連覇達成の瞬間が大好きだから僕のポーズはいつも小さなガッツポーズなのだ。
 一番笑えるのが、創作ポーズを作る。自分がもし、ツール・ド・フランスでステージ優勝したらという設定でゴールする。他の二人が点数をつける。3人でだいぶ作ったがこれだ! というポーズに出会っていない。
 「良いアイデアが下りてきた」
 僕はそう言うと自転車を走らせた。ゴール地点を越える少し前に来ると「イナバウアー」と後ろに身体を反ら