校門を出たときに、ふと思い出した。
「あ、まだ返してなかったね」
リュックから借りた続編を取りだし、春太くんに渡した。
「……ごめんね、変なやつ貸しちゃって」
申し訳なさそうな顔で、春太くんは本を受け取った。
「い、いいよそんな!謝らなくても!」
「気分、悪くしたんじゃない?」
「大丈夫、わたしそんなに思い詰めてないし、祐斗のこと」
あはは、と軽く笑いリュックのチャックを閉めた。
するとガッと勢いよく腕を掴まれた。ビクッと身体が震えた。
恐る恐る春太くんを見る。
……春太くんはなぜか苦しそうな表情をしていた。
「……無理しなくていいから」
「…………」
無理、してる?わたしが?

