大粒の涙がボロボロこぼれ落ちて血が滲むくらいに唇を噛んだ

私は、亜美に何ができるんだろう…
今何もできないなら…

手帳を開いて連絡先と短く

『会いたくなったら連絡して』

それだけ書いて、パトカーを降りて亜美が運ばれた救急外来に行く
一人の看護師が目に入った

「あの、今運ばれた山崎亜美の知り合いなんですけど、これを渡してもらえませんか?」
紙を渡すと不思議そうな顔をしながら私を見る
「あなたの名前もしかして、美沙さん?」
「はい…」 
「そう、わかった。必ず彼女に渡すから安心してちょうだい。」
ぎゅっとやさしく私の手を握ると力強い目で私の目を見ながら看護師はそう言った。
じんわりとまた、涙が目ににじむ

お願いしますと深く頭をさげ、パトカーに戻って家に帰った