自分が死ぬといわれてもイマイチ実感がわかない。
今すぐ死ぬのか、それとも、もう少し生きられるのか。
それによって、今からの生き方を変えなきゃいけないから。

午後一番で、担当の先生が病室に入ってくる。
本当は、診察室で話をするべきなんだろうけど、呼吸がうまくできないのと、座っているのも辛い状態だったから、部屋で説明を受けることになった。

「気分はどうですか?」
「きついですね」
「そうですか、検査の結果が出たのと、病状についての説明を…」
「先生!」

私がいきなり、大きな声をだして話を遮ったものだから、医者は驚いたような顔で私を見る。

「どうしました?」
「私は、あとどのくらい生きられるんですか」

医者は少し黙って考え込むような表情を見せる。

「全部、話してください」

話し辛そうに、口を開いてゆっくりとした口調で話す。

「はっきり言うと、いつ突然死してもおかしくない状態です」

突然死…。いつ死ぬかわからないのか…。

「エプシュタイン奇形という病気です。ご自身の心臓病についてはご存知ですよね?」
「詳しくは…」

そう、詳しくはしらない。 
専門的な説明をされても、ほとんど分かってなくて、ただ処方された薬を飲んで、言われた通りの治療を受けてきた。
もちろん全部受けたわけでもないから、100%ではないのだけれど。