かけ直したうち、ひとつの番号から、折り返しかかってきた。

「もしもし?」
「久しぶり!」

電話の声は、女。
誰だろう?

「えっと、ごめん。番号登録してなくって誰か分からないんだけど…」
「のりだよ~覚えてる?」
「のり?よくこの番号分かったね」

のりは、中学校の同級生。
同じ特別教室の仲間。

「名前忘れたけど、亜美の知り合いの男の子に教えてもらったんだ~」
「知り合い?誰だろう。地元の子は、ほとんどこの番号知らないから」
「まぁまぁ、そんなことどうでもいいさ~元気にしてるの?」
「あ、うん…。元気…かな」
「ん~?なんだか嘘っぽ~い!嘘ついたってわかるんだからね?」
「ごめん。嘘ではないんだけど、詳しく話せなくて…」
「私亜美に伝言頼まれてるんだよね。今話してもいい?」
「伝言?誰から?」
「美沙から~亜美の連絡先わかったっていったら、自分の連絡先を伝えてほしいって言われたよ。もしかして、絶交でもしてたの?」
「そういうわけでもないんだけど、ちょっと事情があって」
「そっかそっか。電話番号しか私もしらないんだけど。言ってもいいのかな?」
「ちょっと待って、書くもの用意するから」

美沙と連絡がとれるなら、私はここから逃げ出せるかもしれない。
絶望と苦痛の日々の中に、希望がうまれた。