家には誰もいなかった。
生活感も無い。相変わらず、家族全員が好き勝手に生活してるんだな。
各部屋の扉は全て閉じられてる。
自分の部屋だった場所だけをあけて中を見ると、何もなかった。
服も、布団も、私が居た形跡さえも無くなってた。
狭く感じていた部屋が、空っぽになるだけで、こんなに広く感じるなんて。

何もない部屋に、ぽつんと私独り。

久しぶりの自宅にあったのは、無。
何か感じようとしても、それを表せるだけの力が私にはなかった。

ただ、自分がここに居た時のように、横になって眠った。
夜になっても家族は帰ってくるはずもなく、近所の人の話し声や笑い声が、よく聞える。
嗚呼。私は、ほんとのひとりぼっちなんだな…。
家族の愛とかそんなものは、私の世界には無いんだ―