いやな廊下を抜けて、職員室の扉をあける。
SHR中で、先生の数は半数くらいだったけど、全員がこっちを向いて、気持ち悪かった。
いろんな目が、私を見てる………

キモチワルイキモチワルイキモチワルイ―

視線に耐えられなくて、職員室を出てしまった。
もう一度、入ることも出来なくて、保健室の方へ逃げるように歩いて行くと、担任と副担任が、追いかけてきた。
パニックになってるのがわかったのか、すぐ近くにある生徒指導室へと連れていかれた。
他の生徒も先生も入って来ないように、指導室へ入ると、すぐにカギをかけてくれた。

「小山さん。身体の調子はどう?」
「最悪です…」
「…そっか。久しぶりにあったけど、顔色もよくないし、先生心配でね」
「すみません」
「謝らなくていいんだよ。何も悪いことはしてない。ところで、大切なことなんだけど、小山さんは本当に学校を辞めてもいいのかな?」
「どういう意味ですか」
「いや…その、ちょっと言いにくいことなんだけど、お母さんが一方的に辞めるってことを僕に電話してきたものだから。家庭内でなにかあったり、他に理由があるのかなと思ってね。もちろん話したくなかったら、話さなくていいからね」
「理由…ですか。私にもわからないです。でも、ここを辞めることに、後悔とか、未練とか、そういったものは、全くありません」

先生は、残念そうな顔をして、退学届を目の前に差しだす。

「ここに名前と、印鑑おしてね。それだけで、大丈夫だから」
「はい」
この紙切れ一枚で、私は解放されるんだ。