マフラーで顔の半分を隠して、こそこそと、廊下を歩く。
出来れば、誰にも見られず、話しかけられずに、目的を済ませて帰りたかったから。

でも校舎の構造上、それは無理な話で、私を見つけた同級生たちは、ガヤガヤと騒ぎ始める。
普段来ない問題児が、一体何をしにきたのかと。

視線と言葉が聞える度に、私の身体の奥底から、いやなものが溢れてくる。

じろじろ見るな。
話しかけるな。
うるさい。
黙れ…―

長くもない廊下が、いつまでも続く道のように感じた。
どうして、いやなことほど、長く長く感じるの…?