彼女の両親は、仕事の都合上、ほとんど家に帰ってこなくて、朝から晩まで二人きり。
夜は起きて、昼に眠る生活。完全に昼夜逆転だった。
彼女は、働いているわけでも、学校にいってるわけでもない。
いわゆる、ニートといわれる存在。
でも、私なんて、ニートなうえに居候。


「亜美ー?ずっと、ほのかと一緒にいてくれる?」
「ずっと一緒に入れるかは、わからないけど、ほのかは私の大切な友達だよ」
「ふ~ん。そっかぁ」
「うん。私さ、少し働こうかと思うんだ。このまま、迷惑かけっぱなしじゃ自立なんて絶対無理だから」
「え!?なんでいきなり!?ずっと、ここにいていいんだよ?迷惑じゃないんだよ?ほのか、ずっと亜美と一緒に居たい…」
「私は私、ほのかにはほのかの人生があるんだから、このままはよくないよ…」
「意味わかんない!!!!亜美がかわいそうだから、おいてあげてるのに、なんで自分勝手に出ていこうとするの?」
「出ていくっては言ってない…。でも働きたい。自分の手でお金稼がなきゃ生きていけない」
「知らない!知らない!働くとかいって、ここ出ていきたいだけなんでしょ!!!!亜美のお金なんて、どうせ身体売って稼ぐ汚いお金のくせに!!!!」

汚いお金…―。
その言葉に、少しムッとしたけど、それでも感情的になってる、ほのかには何も言わなかった。

「ごめん…」
「亜美なんか、勝手にしたらいいよ!!恩知らず!!もう死んじゃえっ!!!!!」


ほのかは、泣きながら部屋中のものを手当たり次第に投げつけてくる。
ぬいぐるみとかは、痛くもないけど、置物のようなものまで投げられたのは、さすがに痛かった。
それを、よけることも、投げ返すことも、怒ることもしなかったのは、世話になった分があるから。

部屋を追い出されて、ほのかが静かになるのと同時に、私は静かに家を出た。
また、夜の街で生きていこう。そのほうが私にはあってる。
仲間とか、友達とか、私はきっと、そういうものに縁がないんだろう…。