早く、早く、終われ。
ぎゅっと強く目をつぶって、行為が終わるまで必死に別の事を考えた。
楽しいことを考えよう。
 




楽しいこと?私の楽しいってなんだろう…。
わかんないや。嫌なことばかりしか思い出せない。
悲しくて、嫌になって、涙をこぼしてしまった。

男は気付くはずもなくて、私の上に果てた。

涙を流す私に気付いたのは、キモ男が下着を身に付けた時。
かなり慌てた様子で、財布の中身だけおいて、部屋を出ていってしまった。

置いていかれたお金を見て、さらに涙は止まらなくなった。
知らない場所で、ひとりぼっちなことがこんなにも、淋しくて、不安だなんて知るはずもなくて、自分のおこしたことが、それだけ軽率で、愚かなんだろうと、自己嫌悪しながら大声で泣いた…