結局待ち合わせした奴らは、全員来なかった…。
慣れない場所で、最初からうまくいはずなんてないよね。
待ち合わせ場所を離れようとすると、やたら挙動不審なキモ男がいた。

見ると、携帯電話片手に、キョロキョロと周りを見渡してる。
ただの待ち合わせにしては、かなり変。

あぶない奴かも、さっさと通り過ぎよう。

「ね、ねぇ。君、マリアちゃん?」

キモ男に話しかけられて、一瞬固まってしまった。

「ね。マリアちゃんだよね?」
「え…いや違うんですけど」
「え…?だってほら、僕たち待ち合わせしたでしょ?」

そう言うと、自分の携帯電話の画面を私の顔についてしまいそうなくらいの距離で見せてきた。

―Bカフェの近くに黒のワンピで立ってるよ☆早く会いたいな~―

確かに、今日の服装は黒系のワンピだけど、この人が待ち合わせした人は、私じゃない。


「ね。は、はやく行こう?ここ人が多いし」

でも、この人は私を待ち合わせの人だと思ってるし。
まぁ、お金になるならいいか。