「やっとみつけた!」
「え…?」

ガラスを割った鉄パイプを投げて、ドアを蹴破る―
さすが元陸上部…長く鍛えられた美しい足の筋肉は、すごい脚力だ。

「助けに来た、先生来ないうちに逃げるよ?」
「カバン教室に…とりにいかないと」

これだけ騒ぎを起こして、私物を置いて帰ればどうなるか、だいたい想像がつく。

「大丈夫、大丈夫」
亜美は、ニッと笑うと私のカバンを目の前に出した。
「あ…ありがとう」
「ほら、早く逃げるよ」

そう言って私の手を引き亜美は走りだした。
一気に学校をぬけて、地元をぬけて
こんなに速く走れるんだと驚きながら、グングン景色は変わっていった。