ホテルに着くと、とりあえず自己紹介も含めての乾杯。

「あらためて、健です。よろしく優」
「はい、よろしくお願いします」

テレビを見ながら、お酒を一緒に飲んで、普通の会話。
会話のひとつひとつが、楽しくて優しくて。
ずっとこのまま、この時間が続いたらいいのに…

優は…本当は…
セックスにも男にも興味がない。
別に気持ちいいわけでも、なんでもない行為に、無駄すら感じるから。
いくら身体を重ねても、気持ちがなければ、意味はない。
楽しいなら、なんでもいい。ただそれだけ。

この健という人は、セックスが目的じゃないのかな?

いつも会っていた人たちは、ホテルに着くなりすぐセックス…。
終われば、モノのように扱って、それまで優しくしていたのを、ひっくりかえしたような態度をとられてた。
運がよくて、そのあとも優しくしてくれるひとなんて、ほんの一握り。
こっちが、相手を金とか暇つぶしとしか思っていないように、相手も優を性処理の道具としてしか見てなかったのに。