「どう?亜美は嫌なの?」
「別にいけるなら、私はどこでもいいよ」
「そうよかった!それでね、亜美に相談なんだけど、お母さん亜美に、ここの夜間部に入って欲しいのよね」
「なんでわざわざ夜間部?」
「ん~それはね」

少し照れたように笑いながらお母さんが言った言葉は、びっくりするとか、そんな言葉では表現できないものだった。

「お母さん好きな人がいるのよね、亜美には黙ってたけど。それでね、亜美が昼間家にいて家事をしててくれたら、お母さん助かるなぁ~って」
「何…それ?私には、亜美と関わるなとか散々手紙に書いてたのに、自分は家族よりも好きな人が大事なの?」
「あの子は…亜美に悪影響よ。お母さんには分かるの」
「何それ!意味わからないし!!自分のしたいことで、私まで犠牲にしないでよ!!私は、お母さんの都合のいい人形じゃない!!」
「こんな我がままなら引き取らなきゃよかったわ…。もう亜美と話しても無駄ね。もういいわ…」
「あーもう!!マジ何なの!?なら何で私のことひきとったの!!一度捨てたくせに!都合悪くなったらまた捨てるの!?親だからって、そんなことして許されると思ってるの!!」
「あのね!!私は母親であるまえに女なの!子供産んだからって女を捨てるなんて出来ないわよ!!」
「もう知らない!!こんな家でていってやる!!」
「好きにしないさい!もうあんたみたいな子いらないわ!!」

鞄だけ持って玄関を出ていこうとすると、花梨が今にも泣きそうな顔をしてこっちをみてた。

「お姉ちゃ…」

そんな花梨を見ないように、家を飛び出した。
もうここには、もどってきたくない。ここは私のいる場所じゃない。