家に帰ると、お母さんも帰ってきていた。
こんな早く帰ってくるなんて、珍しい。
私の中の、お母さんに対する恐怖心がさらに大きくなっていった。

「亜美、ちょっと話があるからこっちにきて」
「うん…」

何の話だろう。また美沙の話かな…

「今日学校にいったんでしょ?」
「うん。行ってきたよ」
「先生から電話があったのよ、亜美がいままで学校に来ていなかったことも、全部お母さんは知ってるの」

全部知ってる…―
怖い。怖いよ。どうしてそんなこと言うの?

「高校どうするの?私立には絶対に行かせてあげられないわ」
「うん…。お金かかるもんね」
「それもそうだけど、今の亜美がちゃんと学校にいって卒業できるか、お母さんわからないもの」
「…。」
「それでね、お母さん亜美にぴったりの学校を先生に教えてもらったの」
「どこの学校?」
「ここよ」

見せられた資料は、今日学校でもらった定時制高校のものだった。
昼間・夜間・通信の三課程があって制服もなく自由な学校。
でもどうしてここなの?

「どうかしら?この学校なら、亜美にぴったりだってお母さん思うんだけど」
「…今すぐここに決めなきゃだめ?」
「お母さん、亜美にはここがぴったりだって思うの!」
「…。」

ぴったりぴったりって…。そんなの分かんないのに。
でも、行きたいところもないし、別にここでもいいか。
それに、こんなことで、お母さんともめたくないし。