「まずね、記憶がない間のことについて何だけど、今僕が疑ってる病気があって解離性同一性障害というものなんだ」

「解離性…?」

「そう、解離性同一性障害。テレビや漫画で多重人格とか見たり聞たりしたことない?昔はそんな風に呼ばれていた時期もあってね。この病気は、主人格のほかに2人以上の人格が存在する病気なんだ。つまり、小山さんのほかに2人いるってことなんだけど、僕があったことあるのは3人。小山さんは、そのうちの誰かと話したり、存在をしていたりするのかな?」

「優…っていう名前なら、気がついたときに呼ばれていたので。でも話したりとかはしたことないんです。話したりとか出来るものなんですか?」

「話すというよりは、頭のなかや心で会話をするって感じかな簡単に言ってしまえば。いろんなケースがあるからなんとも言えないんだけど、小山さんの中にいる人たちは、誰ともコンタクトをとったりしていないみたいだね」

「コンタクト?ですか」

「そう、コンタクト。人格同士がお互いを認識していたり、コミュニケーションをとったりすることだね」

「はぁ…」

「どんな人がいるのか、話した方がいい?それとも知りたくないかな?」

「詳しく…お願いします」

頭の中は混乱する。ぐちゃぐちゃと見えない何かに押しつぶされてしまいそう。
難しい言葉、聞いたことがない病気。
私の中にほかの誰かが存在しているなんて…―