「これくらいかな、俺が知ってる優の話は」

「ありがとうございます。退院したら、荷物まとめて出ていきます。ご迷惑おかけしました」

「いや、いーんだけどよ。帰るとこあんのか?無理に出ていかなくてもいいんだし」

「家に帰ってみます。学校のこととかもあるから」

「あ…そうだよな中学生だもんな」

「はい」

「これ、俺の名刺な、携帯にも連絡先はいってるだろうけど一応渡しておくから、困ったりしたら連絡して。退院のときも迎えきてやっから」

「ありがとうございます」

「いいって礼なんか。んじゃ、俺仕事いくから。またな。早く元気になれよ?」

そういって、和人は部屋を後にした。
私じゃないワタシが、今まで生きていた、生活していた。
キモチワルイ。
だけど、何も覚えてない私のひとつの記録。