戻る途中、すれ違う人の視線や言葉が辛かった。
こんな格好していたら、目立つのは仕方がない、分かってはいるけど嫌で嫌で、声にならない叫びが、涙になって濡れた地面へと落ちていった。


トランクルームにつくと、鬼のような形相をして、女の人は待ち構えていた。
ビシビシと身体を打ち付ける視線が痛い。

「なにやってんの?」

怒鳴るわけでもなく冷たく静かに話す姿が、さらに場の空気を重くした。

「帰る」
「どこに帰るのよ。優の家は私の家でしょ」
「意味分かんない。私は優じゃない」
「意味分かんないのはこっちよ!今夜はステージがあるって言ってたのに、ふらふらどっかに行くわ、しまいには、自分は優じゃないとか、ふざけるのもいい加減にして!」
「違うったら違う!私は優じゃない!!!!」