扉を開けると、大きな鏡が目に入った。
その鏡を取り囲むかのように置かれた、おびただしい数の洋服。
どれも普段着れるようなものじゃなくて、明らかにコスプレ的な服が多い。
着物のようなドレスや、浴衣、そして今着ているのと同じような真っ黒な服。
確かこういうのをゴスロリって呼ぶんだっけ?
私の趣味でもない、この服は、いったい何なんだろう。

「ホラッ!早く着替えて!」
「どれを着たらいいの?」
「はぁ?自分の服なんだから好きなの着たらいいじゃん、とにかく今着てるもの全部脱いで、クリーニング出しといてあげるから。どうせその服も高いんでしょ」
「…わからない。」
「もう、ちょっと今日はどうしたの?雨にうたれすぎて頭おかしくなった?」

意味がわからない。これじゃ私がおかしいみたい。
この場所も、この洋服も、そして今話しているこの女の人も、私は知らない。