玄関を出るとき、見送りには、しーちゃん先生と他の先生たちが来てくれた。
お母さんが簡単に挨拶すると、いつもと変わらない優しい顔で、しーちゃん先生が言った。

「亜美ちゃん。ここにくる前は、たくさん辛いことや苦しいこと嫌なことがあった。ここは、亜美ちゃんにとって、そんな場所じゃなかったかい?」

そう問われて、一瞬考えてしまった。

「違うよ。ここは、“あったかい場所”だった」

「そうか、それはよかった。ここを出ても亜美ちゃんは、家族の一員だからね。人生は、まだこれから、たくさん楽しんで、幸せに生きていきなさい」

家族の一員…。その言葉は、私の胸にちゃんと伝わった。
あったかくて優しくて、時には怒られたりもしたけれど。ここは、“家族”を感じる場所だった。

しーちゃん先生、私絶対に幸せになるよ。そして、幸せになった私を見せに、必ずもう一度この場所に戻ってくる。約束するよ。

お母さんと花梨とも幸せな家族になるから。