「ねぇ、花梨だっこしてもいい?」
「花梨赤ちゃんじゃないからだっこはいらないんらよー」
「いつもママには、だっこだっこって言ってるのに」
「言ってないもん!」
「あははっ、だっこ好きでしょ?一回だけ、ちょっとだけ、だっこさせて。お願い花梨」

手を合わせて、お願いすると花梨は、照れたような仕草でモジモジとお母さんにくっついた。

「花梨、お姉ちゃんのお願い聞いてあげて?お姉ちゃん花梨にずっと会いたかったんだってよ?」
「しかたないなぁ」

モジモジしながら、私の方に歩いてくる。人見知りされないでよかった…
泣かれたりしたらどうしようかと思った

「少しだけだよ?」
「ありがとう花梨」

だっこすると、当たり前だけど、とてもあたたかかった。懐かしい感じもすれば新鮮な感じもする。ずっと会いたかった。
だっこされた花梨は、照れたような表情で私を見ながら…

「お姉ちゃん、好きぃしてあげる」

そう言うと、小さな手でぎゅっとしがみついて、頬を私にすりすりとくっつけた。
あったかい…
すごくあったかい…

私の目からは、ポロポロと涙がこぼれ落ちる。

「ありがと…花梨」
「お姉ちゃん、いたいいたいしたの?」
「ちがう…嬉しくて。ありがとうありがとう花梨」
「よちよちしてあげる」 

小さな手なのに、何よりもあたたかくて、やさしくて、安心させられた。
嬉しくて、淋しかった胸が満たされて涙はとまらなかった。