「今更何しに来たわけ。いままでほったらかしだったくせに」
場の空気が一瞬で変わった。だけど、我慢できない。
自分をコントロールできない。
「こそこそ、あんな糞親父には会って、自分の子どもには連絡もしなかったくせに!」
「亜美ちゃん!落ち着いて」
「うるさい!ねぇ、今まで何してたわけ。いまさら何しに来たわけ。答えてよ。答えろよ!!!!」
「………ごめん…ね。」
「はぁ!?聞えねーよ。ごめんじゃない!!今更謝ったって全部遅いんだよ!!今まで何してたかって聞いてんだよ!!!!!答えろよ!!」
ムカつく。ごめんねとか、そんな言葉が聞きたいんじゃない。
蹴りあげた机が鈍い音をたてた。
「謝ればすむと思ってるわけ!?謝れば昔みたいに戻れるって許してもらえるって思ってるわけ!??ねぇ答えなってば!!」
「落ち着いて、亜美ちゃん落ち着いて。お母さんもちゃんと聞いてるから、ゆっくり話ししよう」
落ち着け。落ち着け私。言いたいことは、こんな言葉じゃない…
深呼吸して、心を落ち着かせようとするけど、イライラとムカつきが全くおさまらない。
「あんたがちゃんと話すまでこれ以上何も亜美から話しないから」
話しないんじゃない。これ以上口を開けば、余計なことばかり言ってしまう。いまの私が唯一自分をコントロール出来る方法は、これしかない。
泣いているお母さんを、これでもかというくらい睨みつけて目を見る。よく見ると昔の優しかったお母さんの面影は、全くなかった。顔はひどくやつれて、髪の毛も昔のようにツヤツヤしてなくて、まだ、30代なのに、まるでおばあちゃんみたい…。たった3年で、こんなに変わってしまうなんて、何があったの?