しーちゃん先生が、面会室のドアを開けると、一番最初に目に入ったのは、さっき窓から見た大きな白い帽子が見えた。それじゃあ、さっきの小さな子が花梨…。
花梨…。
「お待たせしました。小山さん」
お母さんは、立ち上げると深々と、こちらに向けて頭を下げた。
私は、しーちゃん先生の陰からジッと様子を窺う。
「亜美…久しぶりね。大きくなって…」
ドラマで聞きそうなセリフを、お母さんは言った。
「お久しぶり…です」
「座って話そうか、亜美ちゃん。小山さんもおかけください」
面会室の中には、私と、しーちゃん先生とお母さん。花梨の姿はない。
「その…花梨は、今日きてないんですか?」
「花梨は職員さんに見てもらってるの。大切な話が終わったら、亜美にもちゃんと会わせてあげるからね」
「はい」
重い空気。花梨のこと聞かなきゃよかったな。失敗した…
これじゃあ、話しにくい。
「事前に、私の方からは、簡単に亜美ちゃんに話はしてありますが、小山さんと亜美ちゃんも久しぶりにこうして会ったわけですから、お互いに話したいことがあれば、話してくださいね。時間はゆっくりありますから」
「ありがとうございます。亜美…その元気にしてた?」
「はい」
「早織も元気にしてるかしら。お父さんには、少し前に会ったんだけど。早織のことは聞けなくて…」
「多分元気だと思います。結構前から会ってないから分からないけど」
「そう…もう亜美は大丈夫?」
「え…?」
「お父さんから、亜美が乱暴されたって聞いて…」
「…もう大丈夫です」
お父さんに会った…。お父さんと話した…。私が知らないところで連絡とりあってたってこと?
何それ…ずっと待ってたのに……
なんで、お父さんに会って私には、会いに来てくれなかったの連絡してくれなかったの…
表情に出さないように我慢していたのに、自分でもわかるくらいにグチャグチャした醜い感情が湧きあがってくる。
花梨…。
「お待たせしました。小山さん」
お母さんは、立ち上げると深々と、こちらに向けて頭を下げた。
私は、しーちゃん先生の陰からジッと様子を窺う。
「亜美…久しぶりね。大きくなって…」
ドラマで聞きそうなセリフを、お母さんは言った。
「お久しぶり…です」
「座って話そうか、亜美ちゃん。小山さんもおかけください」
面会室の中には、私と、しーちゃん先生とお母さん。花梨の姿はない。
「その…花梨は、今日きてないんですか?」
「花梨は職員さんに見てもらってるの。大切な話が終わったら、亜美にもちゃんと会わせてあげるからね」
「はい」
重い空気。花梨のこと聞かなきゃよかったな。失敗した…
これじゃあ、話しにくい。
「事前に、私の方からは、簡単に亜美ちゃんに話はしてありますが、小山さんと亜美ちゃんも久しぶりにこうして会ったわけですから、お互いに話したいことがあれば、話してくださいね。時間はゆっくりありますから」
「ありがとうございます。亜美…その元気にしてた?」
「はい」
「早織も元気にしてるかしら。お父さんには、少し前に会ったんだけど。早織のことは聞けなくて…」
「多分元気だと思います。結構前から会ってないから分からないけど」
「そう…もう亜美は大丈夫?」
「え…?」
「お父さんから、亜美が乱暴されたって聞いて…」
「…もう大丈夫です」
お父さんに会った…。お父さんと話した…。私が知らないところで連絡とりあってたってこと?
何それ…ずっと待ってたのに……
なんで、お父さんに会って私には、会いに来てくれなかったの連絡してくれなかったの…
表情に出さないように我慢していたのに、自分でもわかるくらいにグチャグチャした醜い感情が湧きあがってくる。


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