【実話】キズナ〜未来へ〜

部屋の窓から外を眺めると、小さな子供の手をひいて、施設の入り口を歩く女の人が見えた
お母さん…かな?
大きな白い帽子を被っているせいで顔までは、はっきりと見えない。
部屋の時計を見ると9時40分位をさしていた。
他の子の面接かな?面会の時間まで、まだ時間はあるし
「亜美お姉ちゃん」
名前を呼ばれて振り返ると、同室の子がいた。
「ともちゃんどうしたの?」
「今日ママが会いにくるんでしょ?」
「そうだよ。先生に聞いたの?」
「うん。いいなぁ。ともちゃんも、ママに会いたいなぁ」
「この前、ともちゃん面会じゃなかったっけ?」
「ママね、まだ病気だから、ともちゃんに、会えなかったの」
しゅんとして、うつむく姿に、少し淋しいような悲しいような気持ちになった。
まだ4歳。お母さんと一緒に、あったかい家で笑って過ごしていたいよね…。